ちぐらー舎

ゲームシナリオライター、稲庭ちぐらの活動履歴など

極道フルール~潜入先は花屋さん!?~ 配信開始しました

めちゃコミックオリジナルで先行配信されている 極道フルール~潜入先は花屋さん!?~ の原作を担当しました。

 

■配信ページ

original.mechacomic.jp

 

■プロフィールページ

original.mechacomic.jp

極道×お花屋さんのコメディです。

どうぞよろしくお願いします。

ラジオドラマシナリオサンプル

本文1500文字(200字詰め原稿用紙12枚相当)。ラジオドラマ脚本形式のショートストーリーです。

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■タイトル:就職×戦争

■人物
久実(21)大学生
慶太(21)同級生

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■本文
    キーボードを叩く音。
    ノックの音がして、ドアが開く。
久実「え? 慶太?」
慶太「ああ?」
久実「なんでこんなところにいるの、慶太」
慶太「俺がいちゃ悪いかよ」
久実「いや、悪いっていうか。ここ、就職資料室だよ」
慶太「だからいるんじゃん」
久実「いや、ちょっとわかんない」
慶太「俺もね、一応真面目に考えてんの、就職」
久実「へー。そうなんだ」
慶太「納得してくれた? 優等生の久実さん」
久実「そっちが自由人すぎるだけでしょ」
慶太「やる時はやるぜ、俺」
久実「へー。じゃあ今がやる時なんだ?」
慶太「そのつもりだったんだけど、ね。なんつーか、マジでやばい」
    久実、溜息をつき。
久実「だろうね」
慶太「だろうねって何だよ、だろうねって」
久実「就職活動ってある意味形からでしょ。Tシャツにジーンズとかいい加減止めなよ」
慶太「それやめたら雪駄履けなくなんだろ」
久実「……それ、オシャレのつもりだったんだ」
慶太「んだよ」
久実「……女子ウケもいまいちだと思うよ、雪駄
慶太「んで? 久実、どこ行ってきたの。そのスーツで」
    久実、言いよどみ。
久実「通称『軍隊』のあそこ」
慶太「えっ? 超絶ブラックって呼ばれてる、あそこか?」
久実「……うん」
慶太「マジか」
    久実、真剣な声で。
久実「マジです」
慶太「そうか」
久実「そうなんです」
    慶太、咳払いをして。
慶太「実は」
久実「実は?」
慶太「俺も行ってきた。同じとこ」
    久実、驚いた声で。
久実「慶太も?」
慶太「しっかし噂以上にアレだよな、聞けば聞くほど」
    久実、勢いよく。
久実「だよねー!」
慶太「入ったらまず研修漬け。その間携帯もスマホも使えないとか。ないわー」
久実「24時間同じ人と顔つき合わせて生活ってのもきっついよねー」
慶太「無理だっちゅーようなことをできて当たり前だって顔で言ってくるところがおかしいよな、マジで」
久実「そうそう!」
慶太「そのくせ『手当は十分とは言えませんが』とかな」
久実「それ聞いた時、一応自覚はあるのか! って驚いた、私」
慶太「あるなら増やせよ、手当」
久実「ねえ?」
慶太「人手不足人手不足って言ってるくせにな。おかしいだろって。俺だってわかるっつの、そのくらい」
久実「じゃあさ、『この機関にその身を捧げる覚悟はありますか』には何て答えた?」
    慶太、吹き出す。
慶太「そんなこと聞く面接官いんの。ウケる」
久実「……慶太、聞かれなかったんだ?」
    慶太、笑いながら。
慶太「聞かれてたら吹く自信ある。リアルに」
久実「言っていい?」
慶太「聞きてえよ、久実の答え」
久実「研修候補生にだけ聞かれるんだよ、さっきの」
慶太「えっ」
久実「噂、だけどね」
慶太「マジで」
久実「みたいよ」
    慶太、長い溜息。
慶太「終わりだ、俺」
久実「……いいじゃん、ブラック行かなくてすんで」
慶太「そうかもしれないけど」
久実「まだ間に合うよ慶太。もっといいとこあるって。雪駄とTシャツとジーンズ止めてさ、ぴしっとすれば」
慶太「俺だって会社訪問の時はスーツ着てるっての」
久実「そっか。そうだよね」
    慶太、ぽつりと。
慶太「お前こそ、あんなとこ行くのやめろよ」
久実「……でも、決めたんだ」
慶太「地球とかさ、久実が守ること、ないよ」
久実「……でも、誰かがやらないと」
慶太「久実の成績なら、他にも選べるだろ。危険もなくて、給料もいいところ、いくらでも」
久実「考えて、選んで、ここが一番いいって思ったんだ、私」
    慶太、苦笑して。
慶太「久実らしいな」
久実「向こうもそう思ってくれるといいんだけどね」
慶太「……久実」
久実「ん?」
慶太「就職、おめでとう」
久実「まだ決まったわけじゃないよ」
慶太「もう決まりだろ。久実が機関に入るのは。久実は大丈夫だ。絶対、大丈夫だ。絶対に」
久実「……ありがとう」
    遠くから爆音。

<了>

アイドル育成ゲームシナリオサンプル

本文800文字。
台詞のみ、地の文なしのシナリオです。
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■タイトル:クリスマスソングを歌って

■ジャンル:アイドル育成ゲーム
(プレイヤーはプロデューサーとしてアイドルを育成する)

■人物
主人公(デフォルトネーム、年齢設定なし) プロデューサー
ジャニス(16) 駆け出しのアイドル

■ジャニスのキャラクター設定
ハードロックシンガーとして活躍したいという希望を持ちつつ、アイドル活動をしている。
女子らしい可愛らしい恰好などは苦手。

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■本文

○クリスマスイルミネーション(夜)

主人公「この時期は街中がクリスマス一色だな。みんな幸せそうじゃないか」
ジャニス「……そうだな。プロデューサーの言う通りだ」
ジャニス「だけどよ……だったらあたしがここで歌う理由なんてないんじゃないか?」
ジャニス「しかも……こんないかにもなミニスカサンタ衣装なんかで……」
ジャニス「せめてもう少しハードロックテイストな衣装にしてくれれば……」
主人公「いや、それじゃダメなんだ」
主人公「周り中が幸せに見えるからこそ深まる孤独。そういう影を背負った人間もいる」
主人公「そんな人々に幸せを運ぶのが今日のお前の仕事なんだからな」
ジャニス「プロデューサーが何を言っているかよくわからない……」
ジャニス「いや、決して今日の衣装が恥ずかしいから言ってるんじゃないぞ?」
主人公「そうか。じゃあ聞くぞ。お前の幸せは何だ?」
ジャニス「あたしは……そうだな。ギターがうまく弾けた時とか声がちゃんと伸びた時とか」
ジャニス「それで会場が一体になった時なんかはたまらない。そういうのが幸せかな」
主人公「今、ジャニスはみんなが一体になった時が幸せ、と言ったな」
ジャニス「……うん」
主人公「じゃあ今この場所で望まれているのはどんな曲だと思う?」
ジャニス「望まれてる?」
主人公「この場所でジャニスを知らない人を振り向かせることができるのはどんな曲だと思う?」
ジャニス「クリスマスソングとか……」
ジャニス「! だからこの衣装だって、そう言いたいんだろ!」
ジャニス「あーもう、わかったよ! バッチリ決めてやるよ!」
ジャニス「だけど! みんながあたしを知ってからはあたしらしい曲じゃないと満足しないと思うぜ?」
主人公「そんなの当たり前だろう。お前はそれだけの魅力があるんだから」
ジャニス「!!! なっ?」
主人公「そうじゃなきゃ俺はおまえのプロデューサーをするはずがない。そうだろ?」
ジャニス「……」
ジャニス「……っと、その……」
ジャニス「……サンキュー、な」

乙女ゲームシナリオサンプル

本文千文字。
主人公主観の一人称です。

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■タイトル:助けてクラーク博士

■ジャンル:乙女ゲーム(現代もの、上司と部下)

■人物
濱中美紀(23) 営業職
高瀬健一郎(29) その上司

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■本文

 

○ビジネスホテル・室内(朝)

 

朝の日差しが差し込んでくる。誰かが部屋のカーテンを引いたんだ。
でも私はもう少し寝ていたくて、自分にかかった布団を引っ張り上げる。
??「寝るな」
聞き覚えのある男の声に私は勢いよく顔を上げる。だって、その声は。
美紀「高瀬主任……!」
高瀬「おはよう」
美紀「……おはよう、ございます……」
私は急いでベッドから降りる。うう、スカートもブラウスもぐちゃぐちゃだ。
メイクは……やっぱり落としてなさそう。
高瀬主任はもうきっちりとスーツを着ている。
美紀「あの、私、昨日」
高瀬「飲めないのに飲むからだ」
むすりとした声に、私は小さな声で反論する。
美紀「……でも、接待相手に勧められたら」
高瀬「だからその分俺が飲むと」
美紀「あれ、てっきり高瀬主任が地酒を気に入ったからだとばかり!」
高瀬「だから俺から酒を奪い返したのか?」
美紀「だって! 営業は取引先から贔屓されてナンボだっていつも言ってるじゃないですか!」
高瀬「無理をして倒れろとは言った覚えがないぞ」
美紀「それは……」
高瀬「自分の適量くらい覚えておけ。ここまで連れて帰るのに俺がどれだけ苦労したか」
美紀「すみません……」
私はうなだれるしかない。
だって二軒目の店で高瀬主任から奪い返した地酒を煽ったところから先の記憶がないんだもの。
高瀬「全然覚えてないのか?」
私は小さくはい、と答える。
高瀬「H大のクラーク像が胸像なのは詐欺だ! って突然テーブルを叩き出したこととか」
だって大学に全身像があるって思ってたんだもん。
高瀬「さらに『少年よ大志を抱け』のポーズを取引先に強要し始めたことも」
だってあれが見たかったんだもん。
高瀬「最後はクラーク博士がマントを着用していたかどうかでまた大騒ぎ」
えっと……着用してた……ような……。
高瀬「ちなみに着用しているのはコートだ」
調べたんだ……。
高瀬「さて、取引先からおまえに伝言だ」
私はうつむいたまま拳をぎゅっと握り締める。
高瀬「今日は予定を変えて羊ヶ丘展望台にご案内しましょう、だとさ」
驚いて顔を上げた私に高瀬主任は機能性ゼリーを投げて寄越す。私は慌てて両手で受け止める。
美紀「普通に渡してくださいよ」
文句を言う私に、ぼそりと声が降る。
高瀬「仕事相手でしかないなら触らないで、って」
美紀「……えっ!? えええっ!?」
動揺する私を尻目に高瀬主任は部屋を出て行った。
私は一人になった部屋で頬にゼリーを当てる。それはひんやりと冷たかった。


<了>

制作実績(2012年~2019年)

2019年

2017年

2016年

2015年

  • プリズンプリンス~逃げて隠れて恋をして~(乙女ゲーム
  • ザクセスヘブン(完全新作アニメーションRPG
  • 彼の秘蜜は恋の裏に(乙女ゲーム

2014年

  • ミリオンサーガ キャラクターシナリオ(本格ファンタジーRPG
  • KstarsWonderland 季節イベントシナリオ(乙女ゲーム
  • 日だまりの花(ケータイ小説
  • 秋色エール(ケータイ小説
  • 版権RPG カード部分テキスト(ソーシャル)
  • ダークファンタジー キャラクターイラスト指示書(ソーシャル)
  • 萌え系ファンタジー キャラクターイラスト指示書(ソーシャル)

2013年

  • 動乱の三国志VERSUS カード部分テキスト(ソーシャル)
  • 神に愛された花嫁 サブイベントシナリオ(乙女ゲーム

2012年

  • ビーストガールズ カード部分テキスト(ソーシャル)
  • マジカルガールズ カード部分テキスト(ソーシャル)

引っ越しました(はじめましてのご挨拶)

Loftworkのブログサービスが終了するというので、こちらに引っ越してきました。

兼業でゲームシナリオライターをしています、稲庭ちぐらです。

 

2016年公開のお仕事は

サモンナイト6 失われた境界たち(PlayStation Vita/PlayStation4

・デイジー・チョコレート・トリック(GREE/Mobage/App Store/Google Play

 

現在はスマホゲームのシナリオを執筆中です。どの子もかわいい!

得意分野は北欧神話と現代設定もの。会話のリアリティとテンポの良さが売りです。

 

経歴などもこちらにぼちぼち移していきます。

どうぞよろしくお願いします。